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Life and others

「マスコット・ホラー(mascot horror)」ゲームの隆盛

All New Jumpscare | Poppy Playtime: Chapter 1 & 2 & 3 vs Roblox Rainbow  Friends (UCN) - YouTube

前回 Roblox の記事を書き、その中で Rainbow Friends について触れた。

みんなでバスに乗って遊園地に行こうとしたら、途中で道を間違えて事故っちゃった!気がついたらなんだか不思議なテーマパークに集められて、姿の見えない謎の声が・・・。

というイントロから始まり、

  • 参加者全員が協力し、ステージに散らばっているアイテムを1箇所に回収する
  • ステージ上をうろつくモンスターをうまく回避しよう、隠れないと食べられちゃうゾ〜
  • ラストはとにかく逃げろ!

という感じで、まあ怖いは怖いんだけど、どこか憎めないキャラクターで、別にキツいゴア表現があるわけでもない、バイオハザードとか SIREN とかあのへんのゲームと比べたら「キャラに愛嬌があってマイルド」なホラーゲームが、ここ最近(2〜3年くらい?)隆盛ではないかと思っている。

類似のゲームたち

ほか DOORS や、Steam では Poppy Playtime や Garten of BANBAN、Five Nights at Freddy's なんかもこの範疇のゲームと言ってよいと思う。Poppy Playtime に関してはこの中でも突出した人気があり、ゲームに出てくるキャラクターのグッズ販売を公式が最初から積極的に取り入れているのも目新しい。

Poppy Playtime に関しては、ゲームで「廃オモチャ工場」が舞台となっていることもあり、グッズ販売というやり方に結びつけやすい(あるいは意図的にそのようになっている)のも上手いなと思う。

Poppy Playtime も Garten of BANBAN も、どちらも chapter 1 だけは無料なので、気になったらインストールしてただちにプレイできる。これもキッズには嬉しい点のひとつだ。

どのくらい怖いのか?または怖くないのか?

これらのゲームに共通しているのは、

  • キャラクターに愛嬌がある
  • ゲーム中、理不尽な「驚かし」がほぼない
    • 基本的には「追いかけられて怖い」状況が多いが、シチュエーションはそれくらい 
    • プレイヤーが死ぬときはだいたいキャラクターがドアップで接近して終わり
  • いわゆる「ゴア表現」が無いか、弱い
    • そもそも生身の人間が出てこない
    • 四肢切断は一部あるが人間ではないので・・・という感じ

という感じで、まぁそういうのが怖い人にとってはめちゃくちゃ怖いのだが、それでも普通のホラーゲームによくある、

  • キャラクターはリアルなゾンビや生身の人間
  • ゲーム中に理不尽な「驚かし」が多い
  • ゴア表現てんこもり

みたいなものとは対局に位置している。

実況動画の隆盛

Roblox の記事 にも書いたが、これらのゲームは実況にうってつけである。

ホラーゲーム実況ではあるが、どちらかというと「ドッキリする」ほうに重きを置いているものが多い。まぁ笑いと驚きは表裏一体という言説もあるので、見てて笑っていて、特に危害もないというのであれば、そこまでの怖さは感じないだろう。

ホラーではないが似たコンセプト

思い起こせば「マインクラフト」のクリーパーも、それ単体をゲームでの振る舞いなどから印象付ければ「危なっかしくて怖いモンスター」というだけの存在ではあるが、今となってはそれなりに人気のあるキャラとなっている。実際、ゲーム中、クリーパーに襲われたことがある人からしたら、この緑色はそれなりに畏怖の対象ではないかと思うのだが、実況などから入った人は、単なるちょっと変わった愛嬌のあるキャラという感じで、印象がまったく違うかもしれない。

Among Us も、ゲーム内で行われていることは不謹慎極まりないのだが、キャラクターの造形があんな感じであるというのが、それなりに幅広い年齢層で知名度を得ている理由なのではないかと思う。

サバイバル・ホラーの金字塔「Left 4 Dead 2」の MOD に、敵味方を Among Us と Fall Guys のキャラで置き換えるやつがあるのだが、これにゴア表現を弱くする Low Violence のオプションをつけて起動すると、実際あんまり怖くなくなる。特殊感染者はそのままなので、要所要所でスリルが味わえるのもかえって嬉しい。

今後も増えるかな?

こういう「そこまでガチに怖くない、キッズでも楽しめるホラー」を何と呼べばよいのか色々探していたのだが、英語圏でも特にこれだ!というような呼び方がなかったので、この記事ではタイトルにも書いたとおり「スプーキー・ホラー(spooky horror)」としてみた。スプーキー(spooky)には

  • 幽霊のような〜
  • 気味の悪い〜
  • 怖がる
  • おびえる

といった意味がある。そこまで直接的に怖くないというニュアンスと、響きから考えれば、妥当ではないかと思う。

呼び方について色々調べていたが「マスコット・ホラー(mascot horror)」という呼び方が広く海外で使われているようなので、この記事もそれに倣って修正してみた。確かにまあ「マスコット」が出てくるホラーゲームという意味では、一番しっくり来るかもしれない。個人的にはホラーというのは基本マスコット(≒組織やプロジェクトのシンボルと位置づけられる人や物、キャラクター)ありきではないか、という感じはするのだが、まあしっくりはくる。

マスコット・ホラーは、グッズ展開や動画・SNS映えなど、昨今のトレンドにうまくハマったフォーマットではないかと思う。Poppy Playtime の公式グッズは人気すぎて発売と同時に売り切れになるなど、かなりの熱を感じる。おれの子供ももれなくハマっているので、親としても今後の動静を見守っていきたいところだ(いずれは公式グッズが欲しい)。